医者の良し悪し

何度か通ったかかりつけの整形外科がある。なかなかいい医者だと思うのだが、ある日ネット検索したついでに口コミを見てみたところ、ひどいヤブ医者だと散々な評価である。口コミを書いた人たちは私とは医者の評価尺度が違うのだろう。

私の好きな医者は、見立てが正確で必要最低限の治療を行う医者である。しかし、愛想がよく時間をかけて話を聞いてくれて、しっかりと治療をし、たくさん薬を処方してくれる医者が好きな人もいるようなのだ。

くだんの整形外科医は愛想に関しては普通だと思うが、会話は最低限である。患者からの状況説明はほぼ聞かず、レントゲンとエコーを撮り患部の状態を見て、患者の希望を聞いて治療方針を決める、という流れである。

先日行ったとき足首が腫れていて骨折という見立てだった。医院でレントゲンの画像を見て、家に帰ってから具体的な骨折の名前を知った。医者に聞けば教えてくれただろうとは思う。

医者はレントゲンの画像を私に見せて「ここにひびが入っているので骨折です」と言い、ギプスをするかどうか尋ねた。ギプスをしなかった場合どうなるか尋ねると、痛みがでるだけだというので、ギプスはしないことにした。その日は痛み止めの内服薬と胃薬を1週間分処方されただけで、一週間後にまた来てくれと言われた。

一週間後にまた行き、レントゲンとエコーを撮って、問題なさそうだということだった。気になるようだったら一ヶ月後にまた来るように言われて、治療は終了。その日は何も処方されなかった。その後腫れが引くまでしばらくかかったが、結局二ヶ月かからずにほぼ自然治癒したように思う。

医者にカウンセリングも求める人も多いのだろうと思う。痛みや骨折があったら不安になるから、その不安も解消してくれる医者がいいのだろう。

普通の人にとって骨折はおおごとだ。そう何度もあることではない。しかし整形外科医にとっては骨折の患者を診ることは日常的であるし、一時的に足が象のように腫れ上がっていたとしても、そうたいしたことではないとわかっているのだ。

医者が大騒ぎしないんだから大丈夫だろうと思うのだが、医者が話を聞いてくれないからと不安になる人も多いのだろう。また、人間には自分で治す力があるが、対症療法はそれを助けてくれる力になる。医者は対症療法が仕事だけれど、対症療法と自然治癒のバランスを考えたアドバイスをくれる医者がいい医者なのだと私は思う。