リアルでもEコマースでも、マーケティングは生ものである

ネットでものを買うときにいろいろなサイトを訪問して、その結果やたらとたくさん広告が出てきた経験が誰しもあるだろう。まだ迷っているうちならまだしも、すでに買ってしまったのに広告が出てくるとうっとうしく思うものだ。しかも安いものを探して買ったあと、もっと安いものの広告が出てきたりする(笑)。

同じサイトで購入履歴と広告が紐付いているなら、買った後に広告が出てきたりはしないだろう。

友人があるサイトで「買った後に値下げされてムカついた」という口コミをしょっちゅう見かけるという。このサイトは、商品にもよるが、検索をしたあとしばらくすると少し値下げをして客の様子を見るような状況が見受けられるという。そういったことならば、一時的に値下げされてムカついた経験を生かすことができる。つまり、欲しい商品があったら何度かそこを訪問したり、欲しいものリストに入れたりしておいてしばらく待つと、少し値下げされるかもしれない。しばらく待つとその結果売り切れてしまうかもしれないから良し悪しだが。少数生産のものやブランド品は値下げされにくいが、大量生産品は値下げの対象になりやすい。

先日行きつけのスーパーマーケットに行くとレジに行列ができていた。行列の後ろに並んだつもりだったが、私の後ろにいた高齢の女性は私が並ぶ前にも近くにいたような気がしたので、「私より先に並ばれてましたよね」と言って先に行ってもらった。その列は二つのレジにつながったフォーク状になっていた。その女性が列の先頭になったとき、レジの片方が少し早く空いた。そのとき彼女が私に「お先にどうぞ」と言った。「いえそんな」というと「反対側のレジの方が早いから好きなのよ。どうぞお先に」という。そこで先に行かせてもらった。実際に彼女が好きだという方のレジが早いというのは私も以前から認識していた。他の人も知っているのだ。客はよく見ているものだと思った。

売る側がマーケティングの観点で何かのアクションを起こした場合、買う側もそれを察知して行動を変えることがある。だから、マーケティングは一度アクションを起こしたら終わり、ではない。売る側も買う側も行動が変わっていくのだ。

ところで、今年はスポーツ用のアパレル商品など季節ものが早く売り切れることがあるという。コロナの影響で、例年よりも少なめに作ったのかもしれない。ゴルフなど一時的に下火になったあとに実は安全だということで人気が出たスポーツ用のウェアは品薄になってしまったらしい。しばらくものの流れが読みにくくなっているから、こういった需給のギャップも発生するだろう。