コロナが落ち着いたら海外旅行に行きたい ートルコー

しばらく行っていないがトルコが好きで何度か行ったことがある。今まで利用した空港はアタテュルク国際空港だった。最初に行ったのは20年以上前のことだ。このときは少人数のツアーにひとりで参加した。空港から外にでると、3月のまだ寒い時期だったため石炭を燃やす匂いが印象的だったのを思い出す。夜だったが、車でイスタンブル市内に向かうと街の景色が見える。日本とはだいぶ違った景色に「とんでもないところに来ちゃったな」と思った。しかも翌日早朝にはアザーンの音で起こされた。アザーンとはイスラム教の礼拝への呼びかけのことで街にスピーカーで流される。かなりの音量に思えた。このときは、イスタンブル歴史地区、カッパドキア、コンヤ、パムッカレなどのメインの観光地をまわった。

よく聞かれるのは次のふたつである。

  • なぜトルコに行こうと思ったのか?
  • トルコのどこにそんなにはまったのか?

なぜトルコに行こうと思ったのかについて。半月ほど有休をとれたから海外旅行に行こうと思った。そのときに思いついたのはふたつ、北欧のオーロラ鑑賞と白い地中海の景色を見ることだった。オーロラは少し時期が遅くなってしまったしひとりで行くよりカップルで行った方がいい雰囲気で見応えがありそうな気がしたから、後者を選んだ。イタリアやギリシアではなくトルコにしたのはたまたまである。ちなみにトルコ語で地中海のことはアクデニズ(白い海)という。黒海はそのままカラデニズ(黒い海)という。

トルコのどこにはまったかについて。まずごはんが美味しいというのはある。トルコに一番長く滞在したのは半月くらいだが、滞在中に和食が恋しくなったことはない。ちなみにロンドンに出張で行ったときは2日目に回転寿司店に行ってしまった。トルコ料理世界三大料理のひとつといわれる。シシケバブドネルケバブなどが有名だろうか。トマト味のものも多い。日本人には馴染みやすいのではないだろうか。個人宅にお邪魔したこともあるが、家庭料理は野菜たっぷりで美味しかった。日本では有名レストランと同じ味というと褒め言葉だが、トルコではお母さんの味が一番なのである。地中海沿岸の国ではどこの人もそういうが、トルコの家庭料理は本当に美味しい

また、トルコはいろいろな民族が共存したり入れ替わり立ち替わりしたりしていて、歴史が重層的である。いろいろな種類の物語があって、日本とは違う面白さがある。

今はコロナで海外旅行には気軽に行けない。ネット上には世界中の写真や動画があって旅行に行ったような気分になれることもある。しかし、現地の空気感だけはネット上には表せない。イスタンブルの市場の雑踏やアナトリアの自然のなかの空気は行ってみないとわからない。

トルコ人は「熱い」人が多い。男女問わず、たいていは「ものすごく親切」である。

イスタンブルボスポラス海峡を挟んで西のヨーロッパ側と東のアジア側に分かれる。ヨーロッパ側は金角湾より北が新市街、南が旧市街である。ヨーロッパ側旧市街のエミノニュからアジア側に船で渡ったことがある。このときはとても疲れていて傍目からもわかったのだろう。二人の青年がやってきて「日本人ですか?学校ではミシマやカワバタを勉強しましたよ」などと言って、乗り場まで案内してくれた。そればかりか切符まで買ってくれた。お礼をいうと「僕たちがあなたに親切にしたのは、僕たちがトルコ人だからですよ」と爽やかに笑って去って行った。うれしくて船の上でちょっと泣いてしまった。

ところでトルコで現地の男性から言い寄られた女性は多いと思う。地中海に面した国の男性は女性に声をかけるのは礼儀だと思っているふしがある。日本の男性は女性に気軽に声をかけたり口説いたりしないから舞い上がってしまう女性も多い。声をかける男性のほとんどは観光客相手の絨毯売りで一時的な関係とお金にだけ興味がある。そういったことに興味がないなら、無視したり適当にあしらって私ってイイ女なのねと内心ほくそ笑むのが正しいあり方だ。スカーフをかぶって歩くと声をかけられる頻度が減るだろう。

ある絨毯売りを無視したときに「人を無視するなんて失礼だってお母さんから習わなかったんですか?!」と日本語で言われたが、笑ってしまったりついむきになって言い返してしまったりと何らかの反応をすると相手の思うつぼだ。このときも後ろを向いたまま黙って立ち去った。

高い絨毯を買ったり一時的な関係を楽しんだりすることは、当人が満足しているなら問題はない。私はそういったことに興味がないから無視する。日本人は自分の尺度で他人をいい人か悪い人に分類して評価しがちだが、そういう分類はあまり意味がない。自分がどうありたいかどういう状況を楽しみたいかを考えて行動することが、トルコだけではなく他の国でも海外旅行をするうえで重要だ。

これまでにトルコに行ったときに着いたのはアタテュルク国際空港だったが、今のメインの国際線の空港は黒海側のイスタンブル空港になった。次に行くときはそこを利用することになるだろう。今から楽しみにしている。