東京で一番美味しい豆かん

東京で一番美味しい豆かんを出す店は、門前仲町の「いり江」だと思う。次点は飯田橋の「紀の善」。浅草の複数の有名店にも行ったことはあるが、感想は変わらない。

いり江の豆かんは豆がしっとり黒々としていて洗練されている。もともとは蒟蒻と寒天の店だったそうだからさすがに寒天も美味しい。いり江に行くとほとんど必ず豆かんを注文する。みつは白みつと黒みつを選べるが、黒みつの方が好みである。

紀の善の豆は固めでしっかりしている。いり江の豆とどちらが好きかは人それぞれだろう。ただ紀の善に行くと豆かんではなくて抹茶ババロアを頼んでしまうことが多い。ここの抹茶ババロアは秀逸だ。抹茶ババロアに生クリームとつぶあんが載っている。甘さの加減がたまらない。カロリーを忘れて注文してしまう。もともとババロアがそんなに好きなわけではなく他の店で頼むことはほぼないが、評判がいいので試してみたら当たりだったというわけだ。

さて、私は豆かんの豆が好きなのである。豆は一般的に好きだ。例えばサイゼリヤに行くと必ず「柔らか青豆の温サラダ」を頼む。私にとってサイゼリヤはこのメニューのために行くところといっても過言ではない。ハウスワインの赤ワインもいい。ワインの良さは必ずしも値段に比例しない。ここの赤ワインを超える赤ワインは美味しいといえるだろう。家でもいろいろな豆料理を作る。春には旬のグリーンピースが出回るので、グリーンピースご飯にすることがある。グリーンピースが好きな人はどちらかというと少数派かもしれないけれど。

豆かんの話に戻ろう。スーパーに売っている豆かんを見ると豆はほんの少しでほとんどが寒天だったりする。そういう豆かんは買わない。私は豆が食べたいのだ。寒天単体がそれほど好きなわけではないので、寒天なしで豆だけでもいいんじゃないかと思ったことがある。ところで、いり江には豆みつというメニューがある。みつ豆の寒天抜きである。これは豆好きの私のためのメニューかと思っていそいそと頼んでみた。ところが寒天がなく豆だけだと何となく今ひとつなのである。少し単調な感じがする。寒天があっての豆、豆があっての寒天。双方が引き立てあって、バランスのいい美味しさに仕上がっているのが豆かんなのだということを認識した。このように絶妙な組み合わせを誰が考えついたのだろう。

いり江の豆かん、紀の善の豆かんと抹茶ババロア、すべて持ち帰りできる。家でも店と変わらず美味しく食べられるので、状況によっては買って帰ることもある。