サスペンスドラマのお約束と所感

サスペンスドラマをよく見るが、いろいろ思うところがある。

  • 犯人役の俳優が巧いとドラマが引き締まる

主人公の俳優よりも犯人役の俳優の方が重要である。主人公は演技下手な人気俳優を起用しても一向に差し支えない。しかし犯人役が下手だといきなりドラマが陳腐化する。犯人が殺人を犯すことがドラマの起点であり、犯人の心理や状況がドラマの最も重要な構成要素だからである。

  • 犯人をゆすると殺される

犯人をゆする者が現れることがあるが、たいてい殺される。そりゃあそうでしょう。だって犯人の殺人に対しての倫理的・心理的なハードルは低い。実際に殺人を犯した経験があるのだから。もし誰かがその犯行を知ってしまったら、警察に言うか知ってしまったことを徹底的に隠して犯人から遠ざかるかしかない。犯人からゆすり取れるかも知れないお金より身の安全のほうが重要である。

  • 犯人は必然性の無い殺人を犯してはいけない

犯人はなんらかの理由で殺人を犯す。行き掛かり上、複数回の殺人を犯すこともある。しかし、完全犯罪を目論むのなら必要最低限の犯行にとどめるべきである。足がつくリスクが増えるからである。実際に本来犯したかった犯行だけなら闇の中に葬ることができたであろうに、追加の犯行から逮捕されるケースが多い。ゆすられたり不安になることが発生したとしても、犯人にはとにかくしらを切り通す胆力が必要である。

  • 観光地をロケ地にしている

さて、国内のサスペンスドラマは観光地をロケ地にしていて、地方の観光コマーシャルを兼ねていることが多かった。

クライマックスの場面は崖と相場が決まっていた。犯人が誰かを追い詰めたり犯人自身が追い詰められり誰かが身投げしようとしたりする場所は決まって風光明媚な崖である。しかし、たまにそこじゃないだろうと思われる場所も出てくる。例えば私には南紀白浜の三段壁でなぜ身投げするのか理解できない。彼らにこう言いたい。いろいろ事情はあるにせよ、まずはとりあえずのんびり温泉入ってきなよ、パンダ観に行ってみなよ、美味しい魚食べてみなよ。そうしたらきっと思い直すんじゃないだろうか。

最近はドラマにかけられるコストが減ったために、いろいろな工夫が見られる。例えばロケ地を都内に限定したり部屋で考察を行うだけで外に出なかったりしてコスト削減を図っていたりする。それはそれで論点が絞れたり作品の個性があらわれたりしてよい。

しかし、日本は東京だけではないのだから地方ロケを全部カットするのは寂しい。地方放送局などとの連携やテレワークを使ってうまくコストカットしてほしい。

  • 女性刑事がヒールを履いている

ドラマで女性刑事もよくみかけるが、特に以前のドラマでは高いヒールの靴を履いていたりする。犯人を走って追いかける場合、悪ければヒールを折ったり転んでしまったりするだろうし、そうでなくとも走るスピードはかなり低下する。

実際の警官は勤務中にヒールを履いたりしないと思っていた。ところがそうでもない。近所の交番の制服警官がヒールを履いたまま自転車に乗っているのを見て驚いたことがある。もしかしたら実際の刑事もヒールを履いてたりするのかもしれないけれど、美的要素より安全や業務効率を優先させて、フラットシューズにしたほうがいいと思うよ。