春は山菜狩り、秋はきのこ狩り

山菜採りのシーズンは初春である。この頃からゴールデンウィークにかけての山は薄い若葉の緑色がだんだん濃くなっていく美しいシーズンだ。私は北関東の出身だが、幼い頃は親や親戚に連れられて、春は山菜狩り、秋はきのこ狩りにでかけたものだ。

スーパーにも山菜は売っているが、山で採れる山菜とスーパーの山菜は全くの別物である。スーパーの山菜にはアクがない。そのまま調理して食べられる。山で採れる山菜はアク抜きをしないと苦すぎてとても食べられない。しっかりアク抜きをした後でも独特の苦みが残る。子供の頃はよくわからなかったが、この苦みがおいしい。

山菜の種類は、わらび、せり、タラの芽、ぜんまい、ふきのとう、ふき、こしあぶら、たけのこなどだろうか。天ぷらにしたり、和え物、煮物にしたりして食べる。きのこも山菜も鮮度が命である。採ってきたらすぐに調理にとりかかる。たけのこはまだ地面から出ていないものを掘る。そのくらいのものが柔らかくて美味しい。

いつも行く場所は決まっているのだが、取り尽くしてしまってはいけない。翌年のために残しておくのだ。逆にいえば毎年取って間引くと次の年にいい感じに成長するような気もする。

東京にも可食な雑草は生えている。つくしやよもぎなど見かけるが、まとまった量がないし、道に面したところに生えていて表面に何がかかっているかわからないから、食用にしようという意欲がわかない。

秋はきのこ狩りに出かけた。親の代まではどのきのこが食べられるかという知識があったが、私はあいにく引き継げなかった。何種類ものきのこを食べたが、毒きのこにあたったことは一度もない。松茸も自生している。松茸は生えている場所がわからない。それどころか、ここにあるよ、と指をさされてもわからない。どうやって松茸を認識するのかは結局学べずじまいだった。ちなみに松茸はそれほど美味しくはない。香り松茸味シメジとはよく言ったものだ。また原木栽培の椎茸の採れたてを焼いて醤油をたらして食べるのもとても美味しい。

ところで、東京にきてあけびが売られていたのには驚いた。あけびは山に行ったときに木に生っているのを取って中の甘い果肉のところだけを食べるものと思っていた。しかも皮も調理して食べると聞いてまた驚いた。まだ買ったことはない。買うものじゃないような気がして。

コロナの影響でしばらく帰省していないが、東京でも新緑は楽しめる。年中PCに向かっていると目が疲れてしまうが、緑は目にいいらしい。外出のついでに努めて木々を眺めている。