タワーマンションの階段上り下り ー コロナでの運動不足解消とダイエット

マンションの高層階の住人からの住み心地についてはさまざまなメディアに載っている。しかし書いてある内容からそのうちの多くは実際に住んだことのない人が書いていると断言できる。そこから類推されるのは、住宅記事にはいわゆるステマが多いということである。マンションの30階に住んで10年以上になるが、おおむね快適に過ごしている。今回は階段について書いてみる。

マンションの高層階に住むならエレベータを使わず階段で自宅まで上り下りできないといざというときに不安が残る。少なくとも一度は防災訓練もかねてやってみたほうがよいと思う。高層階のオフィスでも防災訓練で階段を利用することがある。

また、階段の上り下りは運動不足解消とダイエットに役立つ。上りは有酸素運動、下りは筋トレになるのだ。イメージでは、上りはキツくて無理だけど下りはなんとかなるだろう、と思うかもしれない。

上りのコツは「ものすごーくゆっくり」上ることである。それなら上階まで上れる。上ると汗をかいていい運動したなと思えるが、私の経験では筋肉痛にはならないので翌日以降に引きずらない。息を切らしてはいけない。息を切らしたら休めばいいじゃないかと思うかもしれないが、それではキツいばかりか先に進めなくなる。一度超スローモーションで最後まで休まず上ってみてコツをつかんでみよう。そのうえで物足りなかったらスピードを上げてみればよい。

この方法を思いついたのは経験からだ。サクサク階段を上って息が上がって続かなくなったときに「家の中で繰り返し活動をするのだっていろいろやっているじゃないか、それは続くのに階段上りが続かないのはなぜか、家の中だったら無意識のうちに無理のないようにゆっくり動いているからではないのか、だったら階段もゆっくり上ればいいんじゃないのか」と思いつき、実行してみたのがきっかけだ。その後、山登りの考え方に通じるところがあると知り、理にかなっているのかなと思った。

下りについては、どちらかというとサクサク下りた方が楽ではある。しかし、どうやっても結構キツい。私も一ヶ月ぶりくらいに階段を下りると翌日は筋肉痛である。最初は一日おきくらいにやってみて、大丈夫そうだったら毎日やってみよう。そうすれば筋肉痛はいつの間にかおさまるものだ。そのうち楽に下りられるようになるので、私はスローで下りてみたり、もも上げしてみたり、がに股や内股で下りてみたりと、いろいろなバリエーションを楽しんでいる。

階段の上り下りは散歩と同様に気分転換になる。前向きな考えも浮かんでくる。身体を動かして気分が晴れると人間も動物なんだなと改めて思ったりする。

さて、夫も私もエレベータが止まってしまった状況に遭遇したことがある。私のときは地震だった。ある程度の揺れを感知すると自動的に止まってしまうらしい。夫のときは、点検でエレベータが止まると事前に予告されていたにもかかわらずうっかり忘れていた、という状況だった。夫にも私にもどちらも共通していたのは、エレベータが止まっていたときにたまたま飲み会帰りで酔っ払っていたということである。

しらふなら階段を上れても、酔っているとかなり厳しい。これはやってみないとわからないだろう。私もわからなかった。最初に夫がエレベータ停止に遭遇したとき「普段のときと酔っているときじゃ、階段上るキツさは全然違うよ。休み休みなんとか上ったけどすっごくたいへんだった」と力説していた。そのときは、ハイハイ酔っ払いはたいへんね、と聞き流していたが、自分が遭遇してわかった。本当にたいへんだったのだ。私は数段上るのを繰り返してみてこれは無理だと悟って諦めた。そしてフロアまで下りて椅子に座って休んでいた。こういうときは待つ時間が本当に長く感じるものだ。どのくらい待ったか覚えていないのだが、やっと一台動いたのでエレベータで家に帰ってホッと安堵した記憶がある。

このとき私が遭遇した地震は比較的大きかったものの大したことはなかった。しかし、巨大地震だっていつ起こるかわからない。普段階段を上り下りしていても、酔っ払って帰ってきたら地震が起こって家までたどり着けない、なんてことが実際あるのだ。翌日の仕事にも響く。高層マンションにはそういったリスクがあることも知っておきたい。