誰にでも育てられる植物とハーブ

植物を育てるのは苦手である。温度や水のケア、害虫の駆除など鉢植えを育てるのには繊細な心とスキルが要るのだろう。でも、こんな私にも育てられる植物はある。

新卒で入った会社では、食事が終わった昼休みの後半に女性たちが応接室に入って、のんびり話をしたり仮眠したりしていた。役員秘書はグリーンハンド(植物を育てるのが上手な人)で、会社に贈られてきた胡蝶蘭などの世話をしていた。花が終わっても手入れをしてまた次の花を咲かせたりもしていた。「蘭の世話って難しいっていいますよね。さすがですね」というと、さらっと「そうでもないわよ。かわいがってあげればいいだけよ」と笑っていう。「なかなか植物の世話うまくいかないんですよ。何か私にもできるものってあるんでしょうか?」というと別な先輩社員が「いいのあるわよ。今度あげるね」といってくれた。そしてもらったのがオリヅルランである。

オリヅルラン

そのときにもらったオリヅルランは今もうちにある。今年も花の季節がやってきた。小さく白い可憐な花を咲かせている。雑草のように強靱でときどき水やりをするくらい。寒くなった頃一年に一度、花が終わったあとのランナー(花茎)や茶色になった葉を処理する。これだけの世話しかしていない。本当に私でも育てられている。

パクチーコリアンダー

パクチーコリアンダー)を栽培したことがある。パクチー一年草だ。小さい苗を買ってきて鉢に植え替えて、葉が茂ってきたら取って食べる。一本残しておいてみたら違う形の葉が出てきて白くてかわいい花が咲いて実をつけた。実もスパイスとしてインド料理などで使う。葉は個性的な香りがするが、実は葉とは違った芳香がある。実の方が万人受けするだろう。ところで葉を使うのはアジアだけではない。ポルトガル料理にも使われる。パクチー嫌いな人がポルトガル料理を頼むときには気をつけたほうがいい。

カモミール

一年草ジャーマンカモミールを育てたこともある。白い花が咲いて、花をハーブティで楽しんだ。フレッシュでも乾燥でもいいが、ミルクティがおすすめ。牛乳とカモミールを弱火で鍋にかけて沸騰前に火を止める。とてもいい香りがしてリラックスできる。

カモミールにはアブラムシが付いた。見かけたら取っていたがまたでてくる。天敵のてんとう虫もやってきたが、てんとう虫にも食べきれないようだった。

ローズマリー

スーパーで買ったローズマリーを一本鉢にさしたらあっという間に増えたことがある。このときは低層階のマンションに住んでいたが、高層マンションに引っ越したときに持ってきた。しばらくしたらブルーの花がどっとたくさん咲いた。綺麗だったがその後そのローズマリーは枯れてしまった。高いところは苦手なのかな、と思ったが、しばらくしてまた思い立って、大きめの鉢に一本さしてみた。するとやはりあっという間に増えて花がどっと咲いた。高いところだからダメというわけでもないのかなと思っていたら、やはり枯れてしまった。そこで考えたのだが、たぶん大きくなりすぎて鉢が小さくなってしまったのだと思う。すぐに増えるから地植えの方が適しているのだろう。

今年もオリヅルランの可憐な花が咲いている。これからも一緒にいてくれるよね。