無観客なのになぜかたいして語られていない東京五輪のDX

東京オリンピックパラリンピックはごく一部を除いて無観客で行われることになったようだ。開催については当初2020年に行われることになっていたが、新型コロナウイルス感染症の影響で1年延期されて今年行われることになった。

しかし、1年延期の期間に、観客を入れる入れないとかその場合の感染症対策とか、その際の広報のやり方などのシミュレーションは行わなかったのか。無観客にする選択肢を考えるうえでよりデジタル化の推進の気運を高めようとは思わなかったのか。観客が生で競技を観戦するその空気や緊張感はインターネットやテレビでは味わえないものだろうと思う。しかし、インターネットやテレビでいろいろな角度から撮影された画像をさまざまな角度で切り取ってさまざまな情報とともにリアルタイムで放映することは、逆にリアル観戦では味わえない感動を呼ぶ可能性がある。それをなぜ世界に大きく発信しようとしないのか。

IOCのバッハ会長が日本を訪れている。日本人を中国人と誤ってしまうなどありえない失言もある。一部メディアでは「ぼったくり男爵」などと称されている。しかし、本当に商業や金儲けにフォーカスするなら、なぜ単にオリンピックを通常通り開催するのではなく、新たな技術を駆使してその技術を世界に広める機会にしようとしないのか。大きな利権が動いているのなら、その利権を分配することだけを考えずに、世界的な成長の礎としようとは思わないのか。利権の分配や広島・長崎詣によってノーベル平和賞を獲得しようとするならあまりに時代遅れのマインドではないか。

そもそも、コロナ以前は「五輪テック」といった、テクノロジーにフォーカスしたオリンピックといった側面が盛んに報道されていた。東京で行うからこそ、コロナの最中だからこそ、よりテクノロジーを駆使して、リアルでは味わえない五輪の方向性を指し示して、今後の経済や技術の発展に寄与することを発信すべきだろう。

メディアも連日オリンピック強行なんてけしからん、問題が次から次へ発生している、と煽り立てている。テロだって難民の発生だって五輪前にある程度の対策はされているはずである。もしかしたら煽るだけ煽っていったん国民感情のガス抜きをしているのかもしれない。与党も最近の選挙では負けが続いている。新型コロナ感染症対策も小手先の大衆の人気取りが裏目に出ているように思う。まず今後の経済政策の柱と感染症の対策の方針をきちんと国民に説明すべきだ。しかし、現状は、五輪が始まってしまえばそれなりに盛り上がるだろうから、それまでは寝たふりしてガス抜きに専念しようということなのかもしれない。それは私の趣味とは違うけれど。