広島カープの新型コロナ予防についてのゼロトラスト的考察

複数のスポーツメディアによると広島カープ菊池涼介が新型コロナから復帰し今日から一軍に合流するそうだ。小園も二軍調整を行っている。また故障していた會澤も二軍調整をしている。これから他の選手も調整を経て一軍に上がってくるだろう。無理せず万全の体調で戻ってきてほしい。

さて、カープでは外出や外食を控えることによってチーム内に誰も感染者を出さない前提で新型コロナ対策が行われてきたように報道されている。しかしその方法だけではいったん誰かが感染してしまうとチームに広まってしまう。だから、これからは同じチームや対戦チームのメンバーにも感染者がいるかもしれないという仮定のもとで予防対策を行うべきだろう、と前のブログ記事に書いた。

広島カープからもコロナが出てしまった - ozgunの日記

IT関係者にこの話をしたところ、ゼロトラスト・セキュリティのことを教えてくれた。この考え方はアメリカの調査会社Forrester Research社のアナリストJohn Kindervag氏によって2010年に提唱された。何も信頼できない、どこからでもどこへでも攻撃される、ということが前提のもとでセキュリティ対策を行うという考え方だ。広島カープの話でいうと、チーム内にも感染者がいる可能性のもとで予防対策を行う、ということがゼロトラスト的考え方だ。

従来の境界型(ペリメーター)セキュリティは、「鬼は外、福は内」といった考え方である。この考え方では鬼が内にはいってこないように留意すればよい。社内ネットワークは信用できるが外部のインターネットは信用できないので、内部と外部の間にセキュリティツールを設ける。広島カープの話でいうと、チームメンバーが外食や外出を制限することでチーム全員が外からウイルスを持ち込むことはないのでチーム内は安全が保たれるということか。

しかし、境界型セキュリティに限界があるのと同様に、カープにも感染者が発生してしまった。ベンチでのマスクなしの会話などチーム内では防御が不十分だったため、いったん感染者が現れると感染が拡がってしまう。外食や外出を制限することで外からの感染は完全に遮断できるという前提が崩れてしまったのである。

クラウドの利用やテレワークが新型コロナの影響で一層推進されることになり、昨今はゼロトラスト的なコンピュータセキュリティの考え方がよりクローズアップされている。

感染症対策への思いつきがコンピュータセキュリティの考え方へのアナロジーとなるというのはなかなか興味深い。ものごとを最初から考えると別なことにも応用が利く発想がでてくることがある。